この記事は、「有価証券報告書を就活で活用したい」「ライバルと差を付けたい」「有価証券報告書は見た方がいいけど、見かたがわからない」という人向けに書かれています。
有価証券報告書って、重要そうな情報を書いているけれど、どこをどのように見ればいいかわからないですよね。
私も、就活の時にゼミの先生から「有価証券報告書を見なさい」と言われましたが、見かたがいまいちわからなかった記憶があります。
企業コンサルタントとして働き、経験したことをふまえて「有価証券報告書の見るべきポイント」を解説していきます。ぜひ、就活の参考にしてください。
有価証券報告書とは?【就活で利用する前に意味の確認】
最初に有価証券報告書について、確認していきましょう。有価証券報告書とは、株主向けに企業の情報について詳しく掲載している資料です。
また、有価証券報告書は、会社が有価証券報告書を作成した後に、第三者機関が内容を証明している資料です。そのため、
具体的には、以下の内容が掲載されています。投資家向けの情報なので、嘘や偽りは一切ありません。
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企業が何をして売り上げを立てているのか
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売上の規模はどれくらいか
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従業員の数、従業員の年収
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企業の課題
就活生が有価証券報告書を見る理由【信頼性がある情報】
有価証券報告書を就活生が見る理由は、「会社の実態について、信憑性のある情報をまんべんなく取得できる」ところにあります。
なぜなら、有価証券報告書は第三者が確認を行った上で作成されているからです。
就活生向けの「売上高のみを強調した資料」や「働きやすい職場ですアピールしている資料」ではなく、株主向けの資料であるため、情報の信憑性が高いです。
また、有価証券報告書の「どこに・何を・どんな内容」を書くかという書式は、決まっています。そのため、他の企業との比較がしやすいのも有価証券報告書を就活で活用するべき理由となります。
有価証券報告書は金融庁のEDINETで見る【就活】
「有価証券報告書が重要なのはわかったけど、どこで見ればいいんだろう」と疑問に思いますよね。有価証券報告書を見る方法は2つあります。1つ目は、金融庁が運営する「EDINET」で見る方法です。
ページを開いて、左側にある「書類検索」をクリックして「提出者欄」に企業の名前を入れると、検索した企業の有価証券報告書をPDFファイルなどで見ることができます。
2つ目は、各企業のホームページの「投資家向けの情報」から有価証券報告書を閲覧できます。閲覧できる内容は「EDINET」同じです。
私のおすすめは金融庁の「EDINET」です。なぜなら、各企業のホームページを検索しなくてもEDINETに情報が集約されているからです。
有価証券報告書で就活生が見るべきポイントとは?
有価証券報告書の中で、就活生が見るべきポイントはたった3つだけです。なぜならば、就活において必要な情報は「企業がどんな事をやっていて、どういった課題を取り組んでいるのか」を見ればよいからです。
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事業概要
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売上
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課題
行きたい企業がどんなことをやっているのかわからないと、働いている姿が想像できませんよね。やりたい仕事でも売り上げが低いとあなたの生活が苦しくなります。
課題が分かれば、「御社の課題解決に保有スキルや実績が役立ちます」とアピールしやすくなります。就活においては、3つのポイント以外は見なくても問題ありません。
事業概要の見かた【ポイントは何を・だれ・どのように】
事業概要は、「何を」「だれに」「どのように」を念頭に置いて見ていきます。
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何を(企業が扱っているサービスや商品)
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だれ(顧客は誰か、仕入れ先はどこか)
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どのように(流通経路はどうしているのか)
私が受験したNTTドコモを例に取り上げます。NTTドコモはケータイ電話の会社ですが、ドコモが直接私たちに携帯電話を販売しているのではありません。
携帯電話の通信サービスや端末を、販売代理店を通じて私たちに流通させています。ドコモの事業の一角を例として挙げました。
有価証券報告書に記載のある、事業ごとに「何を・だれ・どのように」を分解していき整理をしていってください。
売上の見かた【粗利率と営業利益率はチェック】
売上の見かたについて解説していきます。売上において大切なのは、「営業利益率」です。
- 営業利益率=(売上高-仕入れ代)-(従業員給料や家賃)÷売上高で算出します。売上高に対して、企業の本業が「どれだけの利益」を出しているのかわかります。
2つの数値を見ることであなたの希望する企業の利益率が、同じ業界の他社だとどれくらいの水準なのか比較することができます。
参考までに総合商社である「三菱商事」の2019年3月末売上高は16兆1038億円に対し営業利益率3.63%です。対して「伊藤忠商事」11兆6005億の売上に対し営業利益率は3.11%です。
「三菱商事」が売上も営業利益率も高いことがわかります。
企業の抱えている課題の見かた【課題の対応策をチェック】
有価証券報告書に記載されている、「業績の状況」を見れば課題が記載されています。
たとえば、NTTドコモの場合、「会員を軸とした事業運営への変革」をする=「会員獲得のためにドコモのファンを増やすにはどうすればいいか」という課題が見えてきます。
私が就活生なら「ファンを増やす」という課題に対し、NTTドコモに提供できるスキルや実績は何があるかを考えていきます。
具体的には、「私はファンを作る方法を知っています。その方法は、有益な情報発信をすることです。実績としてツイッターのフォロワー数5000人を達成しました。」などはよい自己PRになるでしょう。
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課題を見つけて、あなたは「課題に対して何ができるか」考え企業にアピールしてください。
有価証券報告書を見る際に気を付けること【就活】
有価証券報告書を見る際に、気を付けておくべきことは3つあります。
- 上場企業以外のは有価証券報告書は見ることができない
- ホールディングスの有価証券報告書は見なくていい
- ポイント以外は見る必要はない
1つ目は、上場企業以外は有価証券報告書を見ることができない点です。非上場の場合は、官報などの公開情報から情報収集していく必要があります。
2つ目は、ホールディングス(持ち株会社)の有価証券報告書は見なくていい点です。なぜなら、ホールディングスは、子会社の株を有しているだけの会社なので、企業の実態が分からないからです。
3つ目は、紹介したポイント以外は見なくていい点です。すみずみまで見ても、就活では知らなくていい情報ばかりです。時間は有限なので、大切にしていきましょう。
有価証券報告書は3年分見よう【就活】
有価証券報告書1年だけでも情報はたくさん得られますが、余裕があれば3年分を見るといいです。
なぜなら、1年分だけだと「課題をどう解決したか」、「売上はどう変化したのか」がわからないからです。
有価証券報告書を全部を見るのではなく、売上と業績の状況だけをチェックしましょう。売上の増減や業界全体の3年間の動きと企業の3年間の取り組みを見ることができます。
有価証券報告書を3年分見れば、業界全体の動きがわかります。業界研究にも使えるので、時間があれば3年分有価証券報告書を見ましょう。
まとめ
有価証券報告書を就活生が見るべき理由は「企業がどんな事をやっていて、どういった課題を取り組んでいるのか」をまとめて知ることができるところにあります。
「事業内容」「売上」「課題」の3つは必ず確認して、3つの内容を分析することをおすすめします。
- 事業内容は「何を・だれ・どのように」の視点で分析を行います。
- 売上は「営業利益率」を他社と比較して、利益が出ているか確認しましょう。
- 課題は「業績の状況」を確認して、自分が企業に提供できるスキルを考えましょう。
金融庁の「EDINET」:有価証券報告書をまとめて見れるサイトです。