福祉用具

介護現場でどうなると身体拘束になる?【具体例11項目】

「介護において身体拘束ってよく話には聞くけど具体的に何かわからない」という方は多いですよね。

今回は、身体拘束について11個の具体例を挙げながら、どうなると身体拘束になるかについて解説していきます。

身体拘束がわからないという人向けの記事になっています。この記事を読んでいただくことで、身体拘束についての知識や具体例、身体拘束を行わないための解決策を知ることが出来ます。



介護における身体拘束とは

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身体拘束とは、徘徊行為や迷惑行為を防止するために利用者を車いすや特殊寝台、ベッドの上にひもなどで縛り付けることです。

身体拘束を行うことで起こる介護時の3つの影響

身体拘束によって起こる影響は身体的影響、精神的影響、社会的影響の3つの影響があります。3つの影響とは何かそれぞれ詳しくみていきましょう。

身体的影響

関節拘縮や筋力低下といった身体機能の低下、固定されることにより局所が圧迫されて床ずれができるなど、外的な弊害をもたらします。

さらに動けないことによって食欲が低下し、心肺機能低下や感染症と闘うための抵抗力が低下するという、影響があります。

また、車椅子に縛っている場合には「無理な立ち上がりによる転倒のリスク」やベッド柵をつけている場合は「乗り越えようとしての転落のリスク」が考えられます。

他には、抑制具による窒息事故など、大きな事故を発生させる危険性があります。

精神的影響

多大な精神的苦痛を与えるだけでなく、自由にうごくことが出来ないので、人間としての尊厳を侵すことにもつながります。

精神的苦痛を継続的に与えられると、認知力の低下が著しく進行し、せん妄などを頻繁に起こる可能性も増えます。また、本人だけでなく家族に対しても、精神的な苦痛を与えることとなります。

社会的影響

身体的拘束をすることにより、介護スタッフなども自分のケアに誇りが持てなくなることでの「士気の低下」です。

それだけでなく、介護保険施設などに対する社会的な不信、偏見を生じさせることとなります。

さらに、身体拘束によって、拘束を受ける側の高齢者、及びその家族の生活の質が低下するだけでなく、本来不要であった医療的処置を施す必要性が出てきてしまい、個人経済や、社会経済にも影響を及ぼすこととなります。

身体拘束をやむを得ず行うための3つの要素【介護】

身体拘束を行うためには、「緊急やむを得ない場合」に該当する3つの要件すべてを満たす必要があります。そこで、緊急やむを得ない場合に該当する3つの要素について解説していきます。

切迫性

利用者本人または他の利用者の生命または身体が危険にさらされている可能性が著しく高い場合に切迫性の要件が認められます。

非代替性

身体拘束以外に代替する方法がないことが非代替性の要件です。後ほど身体拘束に代わる環境整備については後ほど解説します。

一時性

身体拘束は一時的なものであることが、一時性の要件です。これは、身体拘束における身体、精神、社会的影響が大きいため設けられていると考えられます。

介護時における身体拘束の留意事項

緊急でやむを得ない場合の判断は、担当の職員又は、チームで行うのではなく、施設全体で判断することが必要です。

また、身体拘束の内容、目的、時間、期間など、利用者本人や家族に十分説明をし、理解を求めることも必要になってきます。

介護サービスの提供事業者には、身体拘束に関する記録の作成が義務づけれています。例えば、在宅であれば、サービス担当者会議で検討し、ケアプランに位置づけられ、本人及び家族に説明と同意、実施記録を付けましょう。

身体拘束の具体例11項目【介護】

ここでは、どのようなことが身体拘束に当てはまるのか具体例を11項目挙げていきます。在宅でご家族の方が知らず知らずのうちにどれかを行っていた場合は助言をしてあげてください。

  1. 徘徊しないように車いすやいす、ベッドに体幹や四肢をひもで縛り付ける
  2. 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひもで縛り付ける
  3. 自分で降りられないように、ベッドを柵で囲む
  4. 点滴や経管栄養の管を自分で抜かないように四肢をひもで縛る
  5. 点滴。経管栄養を自分で抜かないように、または、皮膚をかきむしらないように手指の機能を制限するミトン型の手袋をはめる
  6. 車いすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、車いす用テーブルをつける
  7. 立ち上がる能力がある人に立ち上がりを妨げるような椅子を使用する。
  8. 脱衣やおむつ外しを防ぐために、ベッドなどにひもで体幹や四肢を縛り付ける
  9. 他人の迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢を縛り付ける
  10. 行為を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
  11. 自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する

参考:厚生労働省「身体拘束ゼロの手引き」

在宅介護における身体拘束の現状

私が福祉用具をご提供していたご利用者様には、知らず知らずのうちに身体拘束を行っていたところが多かったです。

よくあった事例として、ベッド柵を2本ご提供していたのですが、ご家族がご自身でベッド柵の代わりになるものを作成され、ベッド柵2本と自作の柵で四方を囲むようになっていました。

身体拘束をすることで起こり得る影響を説明したうえで、どうすれば身体拘束を行わずに介護を行えるか、関係者で協議し実行していく必要がありますね。

身体拘束をせずに介護を行う方法

なぜ、転倒が起こるか、チューブの管を抜くのかを考え、根本を解決する必要があります。そのため、介護の環境を整えることが大切だと思います。

環境を整えることで以下のようなことが改善される可能性があります。

  • 車いすやベッド等の福祉用具を利用者の状態に合致するよう適切に選択、調整することで安楽と安全が得られる。
  • 衝撃の少ない床材(下地)の使用や、柱の角の工夫等により、転倒等の影響を軽減できる。
  • 心理的な安定を得られるような居住環境を作ること等により、問題行動そのものを緩和できる。

暴力行為等の問題行動のある方の場合

表情、行動、会話などを観察してみましょう。例えば、独り言をよく聞き、興奮を助長すしていないか、その方との関わり方、態度や言葉づかいを見直すきっかけになるかもしれません。

おむつ外しをする方の場合

どのような状況で、なぜおむつをはずそうとするのか、なぜかゆみがあるのかなど不快感の原因を明らかにしましょう。

その人に合った排せつケアを徹底する、皮膚の状態を改善するといった対応方法について検討すると身体拘束をしなくてよくなります。

車いすから立ち上がる場合

車いすが体に合っていないのかもしれません。車いすは使用者の体の一部であるという視点に立って、長時間座っていても疲労しないような車いすを選びましょう。

車いすにクッション等を敷くこともお尻への圧力分散に効果的で、急な立ち上がりを防ぐことができます。

足が床面について安定するよう足台を置いたり、いすに移乗する、起床の順番を工夫するなどして車いすに座っている時間を短くしたりしてみましょう。

チューブを抜いてしまう方の場合

チューブの形状や固定位置を工夫してみましょう。例えば、太さ、長さ、見えないようにする、手に触れないようにするなどです。かぶれにくい固定テープを選択するのも手段の1つです。

他には、ベッド周辺の装飾を工夫するなど、チューブから関心をそらしたり、嚥下訓練を行うなど、口から食べるための工夫をするなどが挙げられます。

皮膚のかゆみあって管を抜いてしまう場合は、入浴等で皮膚の清潔を保つために入浴剤や洗うスポンジ等を工夫したり、入浴後にはクリームを塗るなど、皮膚の保湿に心掛けるなどしましょう。

他には皮膚疾患の適切な治療を受けたり、清潔で、肌触りのよい寝具、寝巻きを使用する、かゆみを忘れるような活動で、気分転換を図る。などが挙げられます。

夜間不眠、精神的に不安定な方の場合

日中はベッドから離床するよう促してみましょう。日中の適度な活動による刺激を増やし、生活のリズムを整えることで、夜間の不眠を防ぐことが出来るかもしれません。

他には、声かけ、見守り、巡回を多くしたり、家族の協力を得て家族の面会を多くする、自宅への外泊を実施する。

ベッドからの転落がある場合

べッドの高さを低くする、ベッドの脇に衝撃を吸収するマットを敷くなどしてみましょう。もしかしたら、今まで布団で寝ていたのに寝る環境がベッドに変わって高さが怖くなった可能性もあります。

離床センサーを導入したり、歩行訓練や下肢筋力訓練を行うことで転倒しない体づくりを行うことなどが他には挙げられます。

離床センサーは、利用者が起き上がったり、立ち上がったりするのを感知する機器なので転倒を直接防ぐものではないので注意が必要です。

介護における身体拘束まとめ

身体拘束は緊急やむを得ない場合の3つの要素「切迫性」「非代替性」「一時性」を満たす必要があります。

身体拘束を行うためには、関係者全員が、身体拘束について協議する必要があり、利用者や家族に説明と同意を行う必要があります。

身体拘束を行わないためにも、なぜその症状が起きているのかを考え、適切に対処することで利用者やご家族の生活の質向上につながると言えるでしょう。

身体拘束と関連して「認知症について」も合わせて読んでいただけると幸いです。

 

認知症の症状と適切な福祉用具について



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